X線発生装置の作成:    ・・・ 感電事故注意! 当方は一切責任を負いません



  1. X線管と電源の組み立て:


  低エネルギーX線用の、X線管(HBJ21‐0.7‐70、陽極固定型、歯科用・産業用、中国製、アリエク)が手に入ったので、X線発生装置を作って、撮影してみた。

   ● X線管(HBJ21‐0.7‐70)の特性:

  このX線管は、 焦点サイズ: φ0.7mm、 ターゲット: タングステン、ターゲット角(対陰極角): 16°、50〜70kVで使用し、最大管電圧:70kV、 最大管電流: 20mA、 最大ヒーター電流: 2.9A で、歯科用などの 低エネルギーのX線を発生するもの。 焦点サイズの大きさによって、解像度が左右される。 出力電力は、50kV6mAとして300Wにもなり、管の陽極部が著しく発熱するので、電流を流す時間を10秒程度以内に限定し、また放冷の時間を充分取る必要がある。 照射されるX線のエネルギーは、管に投入されたエネルギーの1%程度(数W)である。

 

  ● 高圧電源の設計:

  X線管を駆動する高圧電源は、50〜70kV、4〜10mA程度をカバーする必要がある。
  突出電流などが無い、安定した電流が望ましいので、ZVS(Zero Voltage Switching)自励発振方式で、最も効率の良い正弦波で駆動することにした。 → 2. ZVS 方式 高周波炉 の 改良: (cf. IGBTハーフブリッジ方式は、波形が非対称の矩形波なので、突出電流成分であり、これをフライバックトランスに入れると、スパークなどのトラブルを起こして不安定なので、使えない。)
  フライバックトランスの1次コイルに対する同調コンデンサーは、ブロックコンデンサー(0.33μF・630V、〜50kHz、 ×3個並列で 1μF、アリエク)を用いた。 発振周波数は、10〜20kHz位。
  また、ZVS方式でも、メイン電源を入れてから、FETのゲートSWを入れると、突入電流が流れ スパークするので、ゲートはONのまま固定し、それからメイン電源を入れるようにする。(あるいはSWを無くして短絡しておく。)

  電源は、スイッチング電源では静電気で壊れやすいので、堅牢な 低電圧トランス(PM‐2420、24V、20A、 ゼネラルトランス)から整流器を通して供給した。整流・平滑すると、30〜33Vになる。 AC100V入力側に、プッシュ・トグルスイッチを設ける。これがメイン・スイッチになる。

  フライバックトランス(アリエク)は、500Wのものを用い、1次巻き線は太いシリコン電線(AWG9程度)にさらにシリコンゴム管を被せ、5Turn巻きにした。 2次の出力電圧が約20kVを超えると2次コイルの自己放電が始まるので、無理せず20kV以下にして、次の コッククロフト・ウォルトン回路の昇圧整流ユニット(4段)で、40〜70kVに昇圧整流する。 このユニットに付けるコンデンサー(30kV、500pF ×3 = 167pF)は 取り付け後、コンデンサーの根元をバスボンド・シリコンでコーキングしてしっかり絶縁する。 コーキングしないと、条件によっては コンデンサー間でスパーク放電する。 高圧ダイオード(JB289、 35kV・100mA、trr 100nS ×2)にはシリコンゴム管(φ4×6)を被せた。
  (* ネオントランスを用いる場合は、低周波なのでかなり大きなコンデンサーが必要。 0.01μF=10000pFなど)

  100kV電圧計は、10W500MΩ ×2 の抵抗(1GΩ)を通して 100μA電流計に落とした。 抵抗はアクリル管に通して絶縁した。

  X線管のアノード(陽極)は、M4ねじで銅板(1mmt)に取り付け、絶縁と放熱を兼ねて 2つの碍子(がいし)に レニー六角ねじ(M10×15)で取り付け、陽極部はシャシ・陰極部から10数cm以上の充分な間隔を取って配置した。 管全体は3mmtのアクリル板で取り囲み、管のX線出口付近に穴をあけ、照射口とした。
  陰極(=アース)と ヒーター線は、最上部に設けた。ここもスパークが飛ばないように、2重のアクリル管を通して下のシャシから引っ張った。 陰極とアースとの間に、10mAのメータを入れて、管電流を読み取れるようにした。
  ヒータートランスは、2.5V、3A(東栄変成器)を用いた。 管の電流、電圧値は、このヒーター電流値に敏感に依存するので、出力調整のためにAC入力を、100Vと110Vに切り替えられるようにした。

  全体のアースは、静電気を流すため、ヒッポークリップで水道管を挟み、アースをしっかりとる。

   ● 回路図:

   

  ● ダミー抵抗による調整:

  X線管につなげる前に、大体同じような抵抗値のダミーにつなげて、主に同調コンデンサーの容量を調節した。 抵抗: 5W470kΩ ×36(直列) ×2(並列) で、計72個×5W=360W、約8.3MΩとなり、X線管の推定: 50kV6mAで300W、8.33MΩと同じような抵抗値になる。



  ● X線管本器に接続:

  必ず ヒーター電源を入れてから、メイン電源を(短時間)ONし、素早く 電流、電圧を読み取る。(* ヒーターなしで主電源を入れると、必ずどこかでスパーク放電する)
  AC100V側のヒーターで、電源入力: 30.4V、14.5A(=440W)、  管出力: 40kV、9mA (=360W)。
  AC110V側のヒーターでは、電源入力: 31.2V、11A(=343W)、  管出力: 50kV、5mA (=250W)。
  この99%が熱になるので、10秒も点けるとX線管は非常に熱くなり、充分なCOOLING時間が必須となる。 管電流は ヒーター電流に大きく影響されるので、流れすぎて電圧が下がるようならば AC110Vに切り替える。

     注) 駆動中は 強いX線、紫外線などの有害な電磁波が出るので、目に入らないよう、また被爆しないように注意
  



  2. X線撮影の実験:


  X線の放射口から、鉛直線上に30cm等の距離に撮影フィルム台を置いて、今回は、歯科用のD感度(中間的感度、(E感度、F感度はさらに高感度))のインスタント現像用のフィルムと、現像液一式を用いて撮影した。(DIC-100: 24mm×30mm、 DIK‐10: 54mm×70mm、など、 暗室なしで現像。  阪神技研、モノタロウ)

  ● フィルム面にくっつけるようにして被写体をフィルム台にセットし(セロテープはX線をよく通し、妨害しない)、一定の距離を置き(30cmなど)、所定の時間(0.5秒など)、X線に暴露・撮影する。

  通常の室内にて、撮影後、プッシャーから現像液(+定着液)をフィルムの入った袋の注入口から注入(液量は3/4push、DIK-10は 3push)し、指で揉む。(25℃、15秒くらい、液は強アルカリ性なので ゴムあるいはニトリルなどの手袋をする) 袋を開けて一度水洗。 ここでフィルム硬化剤に漬け表面を硬化し、水洗。 吊るして乾燥。
  見るときは、像がかなり暗いので、蛍光灯の光に透かして、あるいは、PCの白画面にテープで貼って見ることができる。

  * X線の照射時間は結構短くて済むので、電源トランスへの配線にトライアック・コントローラーをつけて、タイマー制御としても良いと思われる。


  ● 結果は、40kVでも よく撮れた。 ベリリウム板はX線管の窓にも用いられるように、全透過した。 電子ビームの対陰極部の焦点のスポット径が φ0.7mmと小さいので、IC 内部の配線もよく見える。

 








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